メンバーのタスクを分散・調整し
設計という山場を乗り越えた
企業や団体がITシステムの構築・運用を行う際に、自社でサーバーを所有・管理するオンプレミス型から、サービス提供事業者のオンライン上のサーバーをインターネットを介して利用するクラウド型へ利用環境を移行することがトレンドになっています。アルファネットは、グローバルなクラウドインフラ市場で2位のシェアを誇るMicrosoft社のAzure(アジュール)の導入技術に強みを持ち、大手SIer(エスアイヤー:システムインテグレーター)からさまざまなプロジェクトを受注しています。
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今回のプロジェクトは、企業の基幹サーバーをオンプレミス型からクラウド型へ移行し、M 365(※1)に更改します。チームのメンバーはPM(プロジェクトマネージャー)の私を含む6人で、社外のパートナー企業から参画している人員を含めると10人以上が関わる大規模プロジェクトです。現在、プロジェクトがスタートして2カ月が過ぎ、設計フェーズから構築フェーズへ進もうとしています。エンドユーザー企業様へのサーバー引き渡しと技術移管は4カ月後を予定していますが、設計という山場を予定通りに越えられたのは、チームメンバーの状況に合わせタスクを分散・調整をはかった結果だと思っています。T.Iさんは大規模プロジェクトに関わるのは初めてということでしたが、ここまでの感想を聞かせてください。
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長期間にわたる大規模プロジェクトはもちろん、クラウド型へ移行するプロジェクトへの参画も、設計を任されたことも初めてです。初めて尽くしでとても大変でしたが、多くのことを学ぶことができました。設計に関しても、通常は詳細設計をマスターしてから基本設計という段階を経ますが、今回は基本設計から詳細設計まで全て任せてもらいました。入社以来、最も難しい仕事でしたが、調べたり聞いたりしながら遂行できたのは、H.Aさんとチームのメンバーのおかげです。でも、入社2年目でまだ経験の浅い私がメンバーに選ばれたのはなぜですか。
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T.Iさんは、私が指名してメンバーに加わってもらいました。昨年、クラウド環境導入サービスを推進していくために、M 365、バックアップ、認証といったプロダクトごとにバーチャルな課を組織して知見を深めた時に、私がT.Iさんに認証が面白いよと勧めたので、その成果を今回のプロジェクトで発揮してもらいたかったからです。
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認証は実際にやってみたらすごく面白くて、沼にはまりました。まだわからないことはたくさんありますが、今回のプロジェクトでActive Directory(※2)やEntra ID(※3)の基本設計をする際にも認証の知識が大いに役立ちました。
※1 M 365(Microsoft 365):クラウドで利用するOfficeアプリケーションやグループウェアのサブスクリプションサービス
※2 Active Directory :Windowsサーバーに搭載されているディレクトリサービスで、ネットワーク上のリソースを一元管理できる。
※3 Entra ID:Microsoft社が提供する認証やアカウント管理を目的とするクラウドベースのサービス。

活発なコミュニケーションが
パフォーマンスを最大化する
当社のITインフラ設計・構築サービスはSIerから受注します。プロジェクトの最上流フェーズである要件定義はSIerが担当、当社は設計フェーズ(基本設計/詳細設計/試験設計/移行設計)から構築・移行フェーズ、試験フェーズ、引き渡し・技術移管フェーズまでを担当しています。今回のプロジェクトでは、当社のPMをH.Aが担当しました。プロジェクトの上流から下流まで、あらゆるフェーズを責任をもって遂行するPMには、チームメンバーのマネジメント力が欠かせません。
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H.Aさんがプロジェクトに取り組む際に、心がけているのはどんなことですか。
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メンバーのパフォーマンスを落とさないことです。知識やスキルが足りていない部分で落ち込んだり悩んだりしないように、しっかりフォローします。大切なのは1人ひとりのメンバーと毎日会話する場を設け、コミュニケーション量を多くすることです。リモート勤務で出社するのは週に1日のため、毎日オンラインで行っている朝礼の後に、会議室をオープンしておいて何かあれば話せるようにしています。相談ごとで一々テキストを打つ時間がもったいないので、メンバーには遠慮しないですぐ電話して欲しいと伝えていますよね。
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H.Aさんからの電話を私たちが受ける方が圧倒的に多いと思います。チャットで「いま電話していいかな?」という確認もなく、突然かかってくるのに慣れてしまいました。
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コミュニケーションの垣根は低い方がいいので、お互いに気を使い過ぎないようにしています。PMとしてメンバーの状況をきめ細かく確認することにより、タスクの負荷や振り分けを的確に調整できるからです。今回、T.Iさんには期待を込めて少し背伸びしてもらいましたが、どんなところが大変でしたか。
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入社して10数件のプロジェクトに参画しましたが、クラウド型は初めてだったので、戸惑うことが多々ありました。たとえば、オンプレミス型だと基本設計、詳細設計、試験設計のプロセスを1つずつ凍結(以降の仕様変更を行わず完全に決定すること)させて次に進みますが、今回のクラウド型は凍結させないのが大きな違いです。クラウド型はサービサーの提供する機能が変わることがあるので、後から変更できるようにしておく必要があるんですね。
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よく、オンプレミス型は物理環境でクラウド型は仮想環境といわれますが、実際はクラウド型もサーバーなどの物理環境をベースに動いている。オンプレミス型の知識があれば、クラウド型にも応用できます。今後はオンプレミス型とクラウド型を併用するハイブリッドなプロジェクトが増えると予想されるので、対応できるようにスキルアップして欲しいと思います。

役割とゴールを明確にすることが
モチベーションの向上につながる
PMのH.Aは、今回のプロジェクトにおける最大の難関は設計であり、そのフェーズをスケジュール通りに終えたことで山場を越えたと考えています。しかし、エンドユーザー企業の基幹サーバーをクラウド化することは、これまでと全く異なる環境へ移行することであり、万一不具合や障害があれば業務に多大な影響を及ぼします。技術移管が終わるまで油断はできません。H.AはPMとしてプロジェクトを進めるなかで、一緒に働くメンバーたちが仕事のやりがいを感じ、成長を実感できることを重視しています。
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多くの人が社会に出たら働かなくては、という義務感で仕事をしていると思います。でも、仕事って本来は楽しいものだと思います。私は当社でインフラエンジニアという、ものづくりをする仕事の楽しさを体感することができました。だから、メンバーが、ここで働けて良かったと思える環境を作っていきたい。コミュニケーションを活性化することも、若手に活躍の機会を与えることも、その一環です。
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今まで経験したことのないタスクを任せてもらえたことで、多くの知識と経験を習得できました。今までわからなかったことが、理解できるようになるのは本当にうれしい。基本設計の作業中に、H.Aさんからプロジェクトのゴールを提示してもらったことで、自分の果たすべき役割とゴールが明確になってモチベーションが向上しました。今はまだAzureの一部分しか担当していないので、これからのプロジェクトでもっと幅広い知識を身に付けられるよう努力します。いつかPMとしてプロジェクトを管理する立場になった時のことを考えながら取り組んでいきたい。H.Aさんに追いつくことが目標です。
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成長著しいT.Iさんなので、期待しています。当社のインフラエンジニアは、お客様との信頼関係を構築するために営業の商談に同席することも多く、それが競争力強化になっています。チームのメンバーにも、プロジェクト全体を俯瞰してゴールやスケジュールについて意識できるようになって欲しいと考えています。それがさらなる成長を促し、仕事の楽しさを広げてくれるからです。
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ありがとうございます。プロジェクトが完遂するまでH.Aさんの背中を追いかけていきます。
