2人の業務内容について教えてください。
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エンドユーザー企業の社員の方々に対し、主にPCの操作や設定に関するサポートを行っています。サポートの対象範囲は契約企業によって異なりますが、ご相談が多いのはWindows OS、Microsoft OfficeやVPN(Virtual Private Network)接続です。お問い合わせの内容によっては、他のチームやメーカー、エンドユーザー企業のIT部門と連携して解決にあたることもあります。
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ヘッドセットを付けてPCの画面を見ながらの対応になるので、イメージはコールセンターの業務に近いかもしれません。OSやアプリケーションの操作から資料作成のサポート、PCのハード障害切り分け、PCメーカーへ問い合わせや修理依頼まで、さまざまなお問い合わせやご要望に対応しています。契約企業毎に複数の専属担当がアサインされ、お客様のPC環境について把握し、お客様に寄り添ったサポートサービスを提供できていると思います。
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私たちのチームがサポートするお客様は、PCを使用して日常業務を行っている企業の社員の方々です。一般的に社員からの問い合わせ対応はIT部門ですが、限られた人員がその対応に追われてしまうと本来やるべき業務が滞ってしまいます。そうした事態を防ぐために、PCに関連するサポートを当社にアウトソーシングする企業が増えています。
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私は文系出身なので、入社時からPCやアプリケーションに関する知識が豊富だったわけではありません。でも、電源が入らないとか、そもそも電源を入れるスイッチがどこにあるのかわからないといった、基本的な操作に関するお問い合わせが多いのには驚きました。
ユーザーサポート業務で難しいと感じるのは、どんなところですか。
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お客様は企業によりそれぞれPC環境が違うので、お問い合わせのたびに細かい確認が必要なことです。たとえば、メールが使えないというお客様がOutlookを使っていると聞いても、ダウンロードするアプリケーションとWEBブラウザ上で利用するものの2種類あります。どちらを使っているかお客様自身がわかっていないこともよくあるので、原因を絞り込むまでに時間がかかります。お客様が利用しているPC環境について把握している情報はありますが、それだけで全てを解決できるとは限りません。
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業務で必要な知識を身に付けるのも大変です。それに加え、私は電話対応に慣れるのに苦労しました。インフラエンジニアとして独り立ちするには、半年くらい先輩について学んだ後に、社内審査を受けて合格する必要があります。試験は簡単なロールプレイングですが、伝えるべきことの要点をしっかり押さえたうえで、相手の言葉にかぶせて話さない、最後に名乗って電話を終えるといったルールを守らなければなりません。人と話すのは大好きですが、相手の顔が見えないとテンションを合わせるのが難しい。昨年、電話応対コンクール(※1)に参加したことで、かなり改善できたと思います。発声やイントネーションだけでなく、感情が入っているかについても指導を受けました。
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M.Kさんは感情をのせるのが少し苦手でしたが、コンクールをきっかけに見違えるように変わりました。
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話すだけでなく、落ち着いてしっかり聞き取ることにより、お客様がどれくらいお困りなのか、緊急性を要するのかという状況を汲み取れるようになったことが大きいと思います。
※1 電話応対コンクール:日本電信電話ユーザ協会が主催する電話応対の技術を競う競技会
今まで対応した中で最も印象に残っているお問い合わせについて教えてください。
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以前、社員の勤怠表をExcelで作りたいが、どうすればいいかわからないというお問い合わせをいただいて、実装したい機能をすり合わせながら関数を使ってご希望通りの表を作成したことです。最初は出勤と退勤と勤務時間がわかればいいというシンプルなものでした。ところが、作業を進めるうちに、残業が規定時間を超えたら文字色を変えてほしいといった機能がどんどん追加されていきます。「これ以上はできません」とは言えないので、ご要望にお応えしているうちに、かなりの時間を費やしてしまいました。完成した勤怠表にはとても満足していただいて「さすがプロですね。ありがとうございます」と御礼のお言葉をいただけたのは、とてもうれしかったですね。
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私が忘れられないのはPowerPointの資料作成です。翌日のミーティングに間に合わせたいという切迫した状況だったので、私も緊張してしまいました。動画や音声が埋め込まれている重いファイルのためメールでは送れず、開くだけでも時間がかかるようなものでした。当時はPowerPointの知識があまりなかったので、電話でお話しながら対応していたら3時間を超えてしまいました。お客様から「助かりました」と感謝されましたが、いったん電話を切って作業するべきだったと反省しました。それからはお客様の時間をいたずらに浪費することのないよう注意しています。
ユーザーサポート業務で苦労しているのは、どんなことですか。
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さまざまなお問い合わせに対応する中で難しいのは、どこまでが契約の範囲で対応できるかを判断することです。原則として、お客様特有のシステムが関るものはサポート対象外になります。契約上、対象外になるケースについて納得していただけるように説明する時も神経を使います。
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テレワークが普及し、ご自宅から問い合わせのお電話をいただくことも多くなりました。お客様の会社で支給されている機器でしたらサポート対象ですが、個人で設置しているルータなどのネットワーク環境は契約範囲外になります。ただ、対象外であっても「できません」で終わらないように「ルータを再起動してはいかがでしょうか」など簡単なアドバイスを差し上げるように心がけています。
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それはまさしく、私たちのチームが重視している「今できる最良のサービスを提供する」に他なりません。最初から「対象外なので申し訳ございません」とお断りせずに、自分ができる範囲でサポートするように努力することが大切です。常にお客様に電話して良かった、と思っていただけるように努力しています。
仕事のやりがいや楽しさについて教えてください。
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お問い合わせをいただいたお客様から感謝の言葉を耳にした時に、この仕事をしていて本当に良かったと思います。1日に10件対応すれば、10回御礼していただけるので、そのたびに喜びを感じられます。その日のうちに解決できない時や、対応できない場合は御礼で終われないので、悔しいですね。
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お問い合わせの内容が難しくて、試行錯誤した末にようやく難題をクリアした時の充実感と満足感は何物にも代えがたいものです。また、以前対応したお客様から再度お問い合わせをいただいた時に「あの時はありがとうございました」と私のことを覚えていてくださるのは、とてもうれしいです。2回、3回と対応を重ねているお客様とは信頼関係があるので、スムーズにサポートすることができます。
今後の夢や目標について教えてください。
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チームの中では私が最も若いメンバーで、まだ後輩がいません。今のうちに知識やスキルを身に付けて、先輩方に少しでも追いつくことが目標です。いま、社内の資格取得支援制度を活用して、Microsoft Azureの資格取得を目指しています。もし後輩ができたら、1番に頼ってもらえる先輩になりたい。これからも学び続けてスキルを高め、チームや会社に貢献するだけでなく、お客様からも「M.Kさんをお願いします」と指名されるようなインフラエンジニアになります。
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私は異業種から転職したので、入社する前は専門的な知識も技術もなく、ITとの接点はネットサーフィンぐらいでした。いまお客様をサポートする立場になっているのが自分でも不思議です。しかし、そんな私だからこそ、PCに不慣れなお客様がどこでつまずいているのか理解できると思っています。慣れてくるとつい専門用語を使ったり、早口になったりしますが、初心を忘れずにお客様の状況に合わせ、常に最適なサポートができるインフラエンジニアになることが目標です。
当社に興味を持っている就活生に、先輩としてメッセージをお願いします。
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入社してからも学び続けることは必要ですが、いきなり膨大な知識を詰め込む必要はありません。過去のサポート内容がデータベース化されていて、ナレッジとして活用できるからです。まず、条件を絞り込んでお客様のお問い合わせに近い事例を探し出します。それで足りない部分を自分で調べればいいのです。文系の私でも半年で独り立ちできました。出身学部にこだわらずに、ぜひITにチャレンジしてください。
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当社のどの部門にも共通することですが、知識や資格は必要ありません。業務に必要な技術や知識は、充実した研修で学び、身に付けることができます。私は面接で役者を志していた経歴からのコミュニケーション力や表現力を評価され、ユーザーサポートサービスに配属されました。いま私がここにいるのは、自分でも気づかなかった潜在的な力と強みを引き出してもらった結果です。ITやインフラエンジニアの仕事に興味があって、人の話を聞くのが上手な人はぜひチャレンジしてください。